南東北・桜追っかけツーリング・その3


秘湯・姥湯温泉


旅行期間:99年4月29〜5月3日



奥羽本線大沢駅・満開の桜(山形県)
■5月1日

 今日は心に決めた温泉が一つ。アウトライダー別冊「秘湯の旅」の表紙を飾った姥湯温泉だ。いざ出発! 裏磐梯のスカイバレーを走ると、雪が残っている。ううっ、さぶいわけや。雪見て喜んでるわ、山道だわで、ちっとも前に進まない。まあいいや、急ぐ旅でもなし。

 途中、見事な桜を見つけたので近付くと、大沢という駅だった。満開満開! しかも旧プラットホームがいい朽ち方していて、うれしくなり、バイクを乗り入れてみる。いいもんめっけた!という気分。



駐車場から姥湯温泉を見上げて
真ん中の2つの屋根が温泉宿
温泉は宿のさらに上です
 温泉までラスト4キロ。ここからのダートが凄かった。急坂とコーナーの連続。坂の途中で停まると、ブレーキをかけていてもバイクが滑って落ちていく。あわてて発進してエンスト寸前! もうちょいで転けるとこだった。あぶねー。ギヤは2速でも無理、1速で走る。きっつい! その上、凹凸がすごくて、荷物に挟んでたペットボトルが吹っ飛んでいた。風呂上がりの一杯のつもりだったのに。

 最後の急坂を落っこちるように下ると、ようやく姥湯に到着! 車がたくさん停まってる。こんな山奥までみんなよう来るなあ。残雪の前にバイクを停めると、ライダーが話しかけてきた。「この(オンロード)バイクでよく来ましたねー」と笑ってる。アクロス偉いぞ!

 谷に沿って、硫黄の臭いがする急坂をずんずん登って行く。この臭い苦手なのだが、そんなこと言ってられない。ようやく、大きな岩で囲まれた見事な露天風呂に到着! 青白いお湯に浸かって一息つく。来た〜、おれはここまでバイクで来たぞ〜。

 巨大な岩壁が左右に立ちはだかり、天を見上げれば青空。もう最高の気分だ! やっと来た姥湯温泉だ。ゆっくり浸かって行こう。湯から上がれば、空気は冷たい。だから何度でも湯に浸かることができる。満足満足。


野趣漂う露天風呂とは
まさにこのこと!


緑の鹿角平キャンプ場
(鹿角平観光牧場)
左上に見えるのが天文台
 『今日の気分は星空キャンプ!』ということで、温泉から福島の南にある鹿角平キャンプ場へ移動。ここには、月報通信員(当時)の山内壮介さんが解説員をされている天文台があるのだ。あわよくばお会いできるかも、と考えながら走った。夕暮れのカントリーロードを、気持ちよく走っていると、少しずつ空気が冷たくなってくる。6時半頃ようやく到着。一面緑の草で被われた阿蘇を彷彿とさせる鹿角平キャンプ場。さっそく山内さんに連絡してみるが、日曜で不在だった。残念無念。

 テントを張り、さっそく一杯飲もうと思ったら、ビールの自販機がない。仕方ないのでバイクに乗って、ビールを探しに行く。ところが街灯もなく道は真っ暗、民家も見当たらない。ゲコゲコとカエルのにぎやかな鳴き声が、心細さを紛らわしてくれる。

 10分くらい走って、ようやく家の灯りが見えた! 何だかホッとする。近付いてみると酒屋だった。助かった〜。入ると、ばあちゃんが迎えてくれた。「カノヅ(鹿角)かい?」という言葉が聞き取れず、何度も聞き直してしまう。すまないねぇ。

 ようやく酒を買い込み、夕食。近くに誰かいないかと探すと、管理小屋の階段に座って、メシを食っているライダー二人組を発見。地元ライダーだというこのコンビは、まるで関西人のようにボケとツッコミのオモロイ二人。突然真顔で「関西人はたこ焼きを夕食に食べるんでしょうか?」と聞かれ、その話を真剣に議論するからおもしろい。
 3人で天文台に向かう。満月のおかげで空は明るく、雲が出ていて、思ったように星は見られなかった。でもすぐ横では、小さな天文台が同じ月を見上げていた。


鹿角平天文台


牧場内の道
ここにも阿蘇が、モンゴルが!

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