<旅のデータ> ・撮影日:98年4月10日 ・場 所:奈良県宇陀郡大宇陀町本郷 ・見 頃:年々早くなってきているので注意。 吉野山の中千本の開花状況とほぼ同じなので目安に。
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「奈良の山里に日本一のしだれ桜を発見!」
桃の花を従えた姿は威厳すら漂う 横から観ると青空が背景となる |
桜の名木数々あれど、私にとって日本一の桜は、これしかありません! 秘蔵の桜ですが、皆に見てもらいたいので、紹介します。 初めての出会いは、何気なく見た週刊誌。ライトアップされた大きなしだれ桜が、周りに桃の花を従えた写真は、強烈なイメージで私の頭に焼き付きました。 実物が見たい! と思ったのですが、場所は「奈良大宇陀」と書かれているだけ。当時は、ガイドブックにもその姿はなく、幻の桜でした。 ようやく、大宇陀の本郷に大きな桜があるという記事をみつけたのは3年目の春のこと。いざ行かん、大宇陀へ!
国道370号線を、「かぎろいの丘万葉公園」の看板に従って曲がると、本郷へ向かう細い道に入ります。見通しの悪い曲がり道を抜けると、突然視界が開けて、大きなピンクのかたまりが現れたのです。 周囲は畑で見通しが良く、後ろは山なので、絶好の背景になります。抜群のロケーションの中、たった一本の大きなしだれ桜が、桃の花を従えて堂々と立っていました。3年前に見た姿そのままです。 ピンクの花を一杯につけた枝は、風に吹かれてゆっくりと揺れ、私の到着を歓迎してくれるかのようです。近づいて下から見上げるより、少し離れて、周りの景色と一緒に見た方が、その大きさと美しさを感じられると思います。 この又兵衛桜という一風変わった名前は、大阪冬、夏の陣で活躍した豪傑、後藤又兵衛に由来します。 又兵衛は豊臣方敗戦後、この大宇陀に隠棲し、僧の姿で再興の時を待っていた、と言い伝えられています。その又兵衛の屋敷跡にある桜なので、又兵衛桜と呼ばれているという話です。 隠れ里の雰囲気を持つ、この大宇陀にぴったりの伝説だと思います。 見頃は4月中旬です。 (OutRider 97年5月号に掲載) ※現在では、周辺が整備されており、このレポートとは若干景観が変わっています。 |