テツの『マンガだいすき』

 

第27話 『新九郎、奔る!』ゆうきまさみ

 北条早雲

 2021年夏の自由研究は、室町時代の武将・北条早雲でした。図書館でたくさん本を借りて、読みまくりましたよ。

 そもそも、なんで早雲に興味をもったかというと、ゆうきまさみさんのマンガ『新九郎、奔る!』を読んだからです。


 マンガは現在連載中で、既刊のコミックスでは、まだ伊勢新九郎という名前だった青年期を描いています。
 これが面白い!

 歴史好きのおいらですが、室町時代は苦手で。
 今まで、ややこしくて避けていた「応仁の乱」が初めて理解できたのも、このマンガのおかげ。いんや〜、これは嬉しかった。

 北条早雲は、小田原に本拠を置いた北条氏の祖です。
「最初の戦国大名」とも呼ばれる人物で、信長、秀吉が生まれる前に活躍した人物。早雲から戦国時代が始まったとも言われています。

 マンガではまだ20歳前、表舞台で活躍する前。
 でも、おいらは好奇心に負けて、この先どうなるのか知りたくなり、北条早雲の本を、この夏一気に読んだという次第。

 いや、でもね、正解でしたよ。
 室町時代だと、知ってる歴史上の人物もいなくって、どうしても出てくるキャラクターが馴染みづらい。

 ところが、この先、主人公とどう絡んでいくかを先に知っていれば、太田道灌がさらっと出てきても「あっ、あの伏線だな」と理解した上で、マンガを読めるわけです。
(ちなみに太田道灌は、徳川家康以前に、江戸城を築いたエライ人。)

 とにもかくにも、室町時代に北条早雲という知り合いができて、良かった良かった。
 と思った、2021年夏でした。

(2021/9/10)


第26話 『しろくまカフェ』ヒガアロマ


『しろくまカフェ bis1』

 今年、おいら的に空前のブームとなった「水出しアイスコーヒー」。
 その火付け役となったマンガがこの『しろくまカフェ』。

 人間と動物が共に暮らし、普通に言葉を交わす世界。
 そこで、シロクマさんがカフェをやっていて、その店にはペンギン、パンダ、人間もやってきます。
 動物たちも人間の言葉が話せるという世界なので、人と動物が普通に会話して、ともに暮らしてるという、のんびりおだやかでクスッと笑える日常を描いています。

 で、そのカフェに納めてるコーヒー豆を作ってるのが、このリス。


『しろくまカフェ くるみ味! 』

 このリスが、水出しアイスコーヒーの作り方を教えてくれました。おかげで、夏から秋にかけて、毎日まろやかな味わいのアイスコーヒーを飲むことができました。

 この表紙のリス、手に小さなコーヒーカップ持ってるんですよ。
 なんともカワイイ絵で、お気に入り。
 このリスを見て、北海道の小樽でホンモノのリスを見に行ったのでした。

(2019/12/27)


第25話 『百日紅』杉浦日向子


百日紅 (上)

百日紅 (下)

 葛飾北斎に興味をもったきっかけは『富嶽三十六景』。
 そして、昨年、北斎の娘・栄(えい)を主人公にした『百日紅』というマンガで、さらに北斎に興味が湧きました。

『百日紅』(さるすべり)は、江戸風俗研究家としても知られる、杉浦日向子さんが描いたマンガです。
 葛飾北斎と娘の栄が江戸に生きた時代と、その周辺の人々が描かれています。

 中でも、栄がとても魅力的な女性として描かれているので、すっかりファンになってしまい、何度も何度も読み直してしまったほど。
 男勝りでさっぱりした性格が、絵を突き詰めていくという職人気質のキャラクターとピッタリで。
 気が付いたら「お栄さん」と呼んでしまうほど、お気に入りの人になってしまいました。

 最近では、テレビドラマ『眩(くらら)〜北斎の娘〜』が放送されたり、劇場アニメになったりと、知名度がアップ。
 先日、図書館でお栄さん関連の本を借りようとしたら、全部貸し出し中でした。テレビの影響力は大きいですなあ。北斎の本はあるんですけどね。

 実物のお栄さんが描いた絵と確認されているものは少ないのですが、美しい「赤」を使い、光と影の明暗を強調した絵が残っており、それを見た時、思わず「おお〜っ」と声が出たほど。
 北斎のアシスタント、代筆もしていたと言われており、絵の才能は一流でした。

 もし、北斎に興味をもって、最初に何から読めば……と思っている人がいれば、迷わずこの『百日紅』をオススメします。
 面白いこと、間違いなし。

(2017/10/15)


第24話 『ちいさこべえ』望月ミネタロウ


ちいさこべえ

 2017/2/1に発売されたMotoツーリング誌で紹介した、奈良県明日香村の「雷丘(いかづちのおか)」。
 雄略天皇の時代に、小子部栖軽(ちいさこべのすがる)という人が雷を捕らえたと伝わる丘です。
 すがるは、雄略天皇が養蚕のために「蚕(こ)を集めよ」と命じたのに勘違いして、人の子を集めたため、小子部(ちいさこべ)という姓を賜り、その子供たちを養育しました。

 昨年末の東京で、この話を題材にした望月ミネタロウのマンガ『ちいさこべえ』と出会いました。
 このマンガがね、しみじみと心に染みる人情話なんですよ。大阪に帰ってきてから、また読みたくなって、本を探して読み返したほどです。
 主人公は大工の棟梁で、職人気質と人情がまだ残る昔ながらの日本が舞台。現代の日本をふと思い浮かべると、どうしてこんなに変わってしまったのか、と思えてしまいます。
 読むほどに、登場人物たちの心の機微が、じんわりと伝わってくる作品です(全4巻)。


ちいさこべ (新潮文庫)

 さらに、このマンガの原作となるのが、山本周五郎の小説『ちいさこべ』です。
 マンガは現代を舞台にしていますが、原作では江戸時代のお話。
 じんわりと心に染みる読後感と、プラスアルファで山本周五郎独特の世界観みたいなものが伝わってきます。
 話の終わらせ方にも違いがあるので、両方読むことをオススメします。
 また、小説の方は短編なので、文庫本には他の作品も収録されています。これら一編一編がまた読み応えがあるものばかりでした。
 文学というもの、文字で語る世界というものの重厚さに触れることができた一冊です。

(2017/2/10)


第23話 『もやしもん』石川雅之


もやしもん 全13巻

 もう何年も前から「食マンガ」として愛読していたのが、この『もやしもん』です。
 思いっきり要約すると「お酒の造り方」と「現代日本の食」がわかるマンガです。

 「お酒の造り方」という部分では、日本酒、ワイン、ビール、泡盛などのお酒や、味噌、醤油、納豆などの発酵系食物の造り方、素材、発酵メカニズムなどを、分かりやすく教えてくれます。
 ちなみにタイトルの「もやし」とは、日本酒を造るために必要な「種麹」のことで、野菜のもやしではありません。

 ちょうど自分が、日本酒を美味しく飲み始めた頃に読み始めたため、日本酒の造り方だけでなく、発酵する菌レベルの解説から、日本酒の歴史や、現代における流通、販売をとりまく状況まで、あらゆる説明も興味深く読ませてもらいました。

 また「現代日本の食」という部分では、自分たちが今、食べているものがどういうものであるか、を紹介してくれています。
 例えば、お鍋の味付けに、てんこ盛りの食品添加物を使って見せて、まさかと思ったら、これがちょうど良い味になったといったシーンがあります。
 これは、自分たちがいつも何を食べてるのか、ということを目の前に示してくれました。これ、よく食べてるカップ麺とかも同じなんですよね。ラベルを読んでみると、あらゆるものに食品添加物が入っているのがわかります。

 もやしもんの面白いところは、決して「自然にできたもの」が善で、「食品添加物などの人工的にできたもの」を悪、とは決めつけてないところです。
 現代の日本において、自然・人工を含め様々な食があり、食べる側がそれを自由に選択できるということが、豊かなことなのではないか、と語られています。
 確かに、インスタントラーメンが無性に食べたい時もあるし、美味しい朝採れ野菜を食べて感激する時もありますよね。

 様々な角度から「食」を紹介してくれるマンガ『もやしもん』。自分の興味のあるお酒が書かれてる巻から、読むといいかもしれません。

 余談ですが、作者の石川雅之さん。堺市出身で、どうやら、我が家のわりと近くだったようです。そういう意味でも応援してます。

(2014/4/30)


第22話 『あさきゆめみし』大和和紀


あさきゆめみし 全7巻
(講談社漫画文庫)

 ご存じの人も多いと思いますが、マンガ版・源氏物語です。なので、ここ4,5日は、ずっと雅な平安絵巻の世界に浸っていたというわけです。

 いんや〜、1度は源氏物語を読まなきゃと思ってたんですが、なかなかその機会がなくって。ところが、先日読んだマンガの中でヒロインが「源氏物語をマンガで読みました」という話があって、これだ! おいらもマンガなら読める、と思ったわけです。
 読み始めてみると、単行本13巻、連載14年間という大作の内容が濃密で、早読みのおいらでもなかなかページが進まず、1冊読み終わると頭も心も消耗してフラフラになりましたよ。何度、頭から煙がプシュ〜っと出たか(笑)。
 マンガ化して、読みやすくなってるとはいえ、おいらの思考形態とは違う世界なので、源氏物語の世界に入り込むのが大変でしたね。とはいえ、さすが千年間読み続けられてる物語。おいらもなんとか最後まで読み通すことができました。

 感想なんですが、前半は「光源氏よ、そりゃ好き放題やりすぎやろー」とツッコみ、後半は「どうしたんや、しっかりせーよ、光源氏」と思いながら読みました。その後の宇治十帖はストーリーが一本なので、読みやすかったですね。
 それにしても、大和和紀さんの絵は本当にキレイでした。文庫版の巻頭には、カラーイラストが付いてるんですが、その色合いの美しさに、しばし見惚れてしまうほど。この素晴らしい絵だからこそ、源氏物語の世界を描きあげられたんだと思います。
 現在、手に入りやすいのは文庫版で全7巻です。

(2012/9/19)


第21話 『銀の匙 Silver Spoon』荒川弘
     『百姓貴族』


銀の匙 Silver Spoon
第1巻

 なにか面白いマンガはない?って聞かれたら、このマンガをオススメします。荒川弘さんの『銀の匙』です。
 荒川さんといえば前作『鋼の錬金術師』が大ヒット。次回作が何になるか話題になっていたのですが、なんと農業高校を舞台にした青春マンガだったのです。

 舞台は北海道の大蝦夷農業高校。新入生として寮生活をはじめた主人公は、農業志望で入学したのではないため、見ること聞くことにカルチャーショック。その主人公の驚き体験が、そのまま読者にとっての笑いや驚きになります。

「農マンガ」の先駆け『もやしもん』(石川雅之)が菌マンガであるならば、こちらは畜産マンガ。牛、鶏、豚、馬を飼い、乗り、食べることが畜産の現場から語られています。サンデー、馬の飼育という部分で言えば、競馬マンガ『じゃじゃ馬グルーミンUP!』(ゆうきまさみ)も近い部分があります。どちらかのマンガが好きな人には、一読してほしい作品です。

 さて、この『銀の匙』。畜産現場のリアルな話を、ユーモアや笑いに変えて、上手に描かれています。なぜ作者はそんなに詳しいの?と思ったら、こういう本が。


百姓貴族 第1巻

 荒川弘さんの『百姓貴族』です。
 この本によると、荒川さんは農業高校出身で、実家は北海道の農家。マンガ家になる前は7年間、農業に従事していたというのです。なるほどねー。大ヒットマンガの次は、自分の得意分野をテーマに、ということなんですね。

 この『百姓貴族』は、2006年から始まった農家エッセイマンガなので、『銀の匙』の元ネタになっているエピソードが数多く書かれています。とはいえ、物語というオブラートに包まれる前のエッセイなので、笑いや驚きがストレート。わっはっはと笑ったり、ええーっと驚いたりする話が満載です。
『銀の匙』が面白いと思った人には、ぜひ読んでもらいたい一冊です。

(2011/8/3)


第20話 『3月のライオン』羽海野チカ


3月のライオン
第1巻

 羽海野チカさんの『3月のライオン』は将棋マンガです。主人公は、高校生でプロ棋士。厳しい勝負の世界と、温かい人たちに囲まれた日常世界を行き来することで、主人公がプロ棋士として、人間として成長し、失った心を少しずつ取り戻していく物語です。
『ハチミツとクローバー』というハートウォーミングな少女マンガを描かれた羽海野さんが、どうして将棋マンガを?と最初は思ったのですが、読み進めて納得。将棋世界をも羽海野ワールドに取り込んで、キャラクターたちの心のふれあいが語られているのです。
 この物語で何より好きなのは、思わずクスクスっと笑ってしまうシーン。シビアな心情が語られるストーリーなだけに、ふっと気が抜けるシーンでは心が緩み、フフフッと笑うことで、読者の心にポワンとした温かな気持ちを生じるのです。

 描き方にも様々な工夫がなされています。将棋を知らない読者にも分かるように、勝負が接戦であればキャラクターの顔もギラギラとした熱い表情に、難局であれば難しい顔つきにして、読みやすくしています。
 また、将棋のコマをネコのキャラクターに"擬猫化"して説明した部分では、笑いながらも、これはスゴイと思いました。噛み砕いて噛み砕いて、少しでもわかりやすいように見せる、という努力を惜しんでないからです。その作者の努力は、将棋のシーンにとどまらず、『3月のライオン』に出てくるキャラクターたちの心情を丁寧に描くことで、読者へ届けようとしています。

 お日様が当たる縁側に座り、温かいお茶をのんでホッと一息吐いている。隣りには日向ぼっこする猫が座っていて、その猫を見ていると思わず笑顔になる――そんな読後感をもつ作品です。

(2011/1/19)


第19話 『ちはやふる』末次由紀


ちはやふる 第1巻

「マンガ大賞2009」、「このマンガがすごい!2010」1位を取った作品ということで、一体どんなに面白いのか、読んでみたいなあと思ってたんです。で、1巻から読み始めてみると、面白くって手が止まらなくって、一気に6巻まで読んじゃいました。
 話は、百人一首・競技かるたでクイーンを目指す女の子が主人公です。一人ではなく、チームを作って仲間と一緒に成長していく、という青春モノとして描かれているので、高校野球マンガで育ったおいらなんかには、入り込みやすいんですよね。
 また、主人公のちはやは、容姿顔立ちがキレイな女の子なのに、男の子っぽい性格なので、男性読者でもとっつきやすくなっています。絵柄が華麗な少女漫画なので手に取りにくい男性読者がいるかもしれませんが、中身はスポーツ熱血モノなので、ぜひ一読してみてください。

 以前紹介した『とめはねっ!』(河合克敏著)で書道が脚光を浴びたように、この『ちはやふる』で、競技かるたが脚光を浴び、競技人口が増えるといいなと思います。
 このマンガを読んでると、おいらでも「百人一首、もう1回読んでみようかな」と思いますからね。ちょうど、百人一首を学校で習っている10代の子たちが読むと、競技かるたをやってみたいって人も、たくさん出てくると思います。
 おいら自身、野球マンガを読んで野球を始めたクチなんで、1冊のマンガとの出会いが、その人の人生を変えることを知ってるんでね。こういう面白いマンガは、ぜひぜひたくさんの人に読んでもらいたいです。
(2010/2/6)


第18.5話 『よつばと!』あずまきよひこ


よつばと! 第9巻

 日常マンガなんですが、メッチャ面白くってねぇ。これ読むと、何回も大笑いしちゃうんですよ。ホント楽しいマンガです。
「よつば」という女の子が経験する様々な日常が描かれているんですが、よつばにとっては初めて経験することばかりなので、日常なのに、とても新鮮なことなんですよね。
 ぼくたちにとって「普通の日常」が、こんなに楽しく素晴らしいもの「だったんだ」ということに、気付かせてくれます。


第18話 『とめはねっ!』河合克敏


とめはねっ! 全14巻

 河合克敏さんの『とめはねっ!』の第5巻が6月末に発売になりました。この作品は、第1巻の時からマンガだいすきで紹介したかった作品です。
 河合さんといえば、柔道青春マンガの傑作『帯をギュッとね!』から、競艇の『モンキーターン』を経て、この作品までずっと続けて読んでます。

 この『とめはねっ!』という作品は、高校の書道部が舞台です。近頃は、テレビで武田早雲さん活躍されたり、高校書道部が音楽に合わせて、大きな書を書くパフォーマンスが紹介されて、一般の人にも、少しずつ書に目が向き始めています。

 とはいえ、熱血スポーツマンガなら、ライバルとの対決で盛り上がるけど、書道部の場合はどうするの?と、連載当初は思っていました。ところが、ちゃんとライバル高校や恋のライバルが出てきて、マンガらしい対立軸を作っています。魅力的な元気印のキャラクターが動きまわってくれるのも、河合マンガならでは。これで読者をグイグイと引っ張ってくれます。

 このマンガの見所は、随所に出てくる書道に関する説明でしょう。書道に関する疑問に答えてくれてるのです。
 例えば、一般的にきれいな字と思われるのは、このパソコンに表示されるような文字ですよね。でも、書の達人が書く文字は崩されていて、普通の人には読めません。読めない文字が、どうして上手い字なんだろう? そういう疑問に対して、丁寧に説明してくれています。

 このマンガを読んでいると「書って、面白そうだなあ。自分も書いてみようかなあ」と思ってしまうのです。そういう魅力や引き込む力があるのです。
 実はぼく自身、小学校時代に書道を習いに行ってました。しかし、その必要性を感じてなかったので、上達せず終い。今はパソコンばかりなので、悪筆をさらさずに済んでいます。

 もし、小学生時代に、このマンガがあったなら、本気で取り組んでただろうなあと思うのです。野球マンガを読んで野球をやりたくなるように、書道マンガを読んで書道をやりたくなる。そんな書の楽しさを教えてくれる文化系的「静かに熱血」青春マンガです。
(2009/7/4)


第17話 『PLUTO』第8巻 浦沢直樹


PLUTO 全8巻

 浦沢直樹さんの最新作『PLUTO』最終巻・第8巻を読みました。思えば、この『マンガだいすき』の第1話がこの『PLUTO』だったんですね。さらに第11話でも書いています。それほど、楽しみに読んでいた作品でした。

 改めて、第1〜8巻まで読み通して「ああ、あの伏線はこのことだったんだなあ」という部分が随所にあります。
 第1巻から出てくる「500ゼウス」のシーンが、最終巻でようやく「そういう意味だったのか」と分かります。この連載は2003年からなので、7年かけて、ようやく読者は納得するわけです。さすが浦沢・長崎コンビ。うまい伏線の張り方で、7年も読者を引っ張ったんですね。

 最終巻は、アトムとプルートゥの最終決戦と、これまでの謎解きです。さすがに手塚治虫の『鉄腕アトム』がベースにあるため、『20世紀少年』などの他の浦沢作品より、謎に対する答えが分かりやすく「そういうことか」と納得がいきます。

 完全なロボットというのが、人間とは見分けのつかない、人間ソックリなものであるならば、完全なロボットには人間と同じように「心」や「感情」が必要であるはずです。

 その心には「正と悪」があり、「正の心には慈しみ」が、「悪の心には憎しみ」が生じます。ロボットの人工知能から意図的に外されている「悪の心」を、もし注入したら、そのロボットはどうなるのか? それがこの物語のテーマの1つでした。

 読み終わって、最終的に胸に残るのは、その「悪の心」から生じる「憎しみの連鎖」。戦争によって、かけがえのない人を失った人たちが、相手を憎み復讐し、またその相手に憎まれ復讐される。

 永遠に終わらない「憎しみの連鎖」からは何も生まれない。「憎しみ」を終わらせなければならない。そういうメッセージをアトムとプルートゥは残してくれました。

 全巻通して1番好きなのは、第1巻に出てくるノース2号の話。原作には出てこないオリジナルのストーリーは、悲哀と共に温かさを感じさせてくれました。このエピソードだけでもオススメです。
(2009/7/2)


第16話 『ハチミツとクローバー』羽海野チカ


ハチミツとクローバー 全10巻

 羽海野チカさんの『ハチミツとクローバー』全10巻を一気に読んでしまいました。途中で止められないんですよ。
 大学時代の青春群像を描いた作品で、途中3回も泣かされました。ぼくの涙のツボを突いてくるんですよ。思わず涙腺が……。
 一番共感したのは、男性キャラが自分探しの旅に出る話です。「自分探し」ってところが、まさに青春真っ只中。
 自分に何ができるのか、自分は何者なのか。夢と現実。何になりたいのかわからないけど、有り余るエネルギー。自分自身へのもどかしさ。
 そんな心の葛藤をかかえた青年は、走り出します。どこか目的地へ向かうのでなく、とにかく走り出したのです。ここで「いいですなあ、青春ですなあ」と自分がそうであった時期を重ね合わせながら読みました。
 作家の羽海野さんは、ご自分でも旅をしたんだろうか?と思うほど、旅の行き先、途中のエピソードが、旅ライダーにとって経験したことがあることばかり。「そうそう、同じ経験をしたことあるよ!」って呟いてしまうほど、旅人にとって共感できる思い出話が散りばめられてます。
 そして、一番感動したのは、青年が北海道の「あの場所」へ向かうシーン。ぼく自身が転職するか否かを悩んだ時に走ったあの場所へ。だから思わず「やっぱり、そこへ行ったのか!」と思わず本に向かって叫んでしまいました。
 その後で「ああ、旅をこうして描けば、読者に届けることかできるんやなあ」とモノカキの視点に変わったのは、自分が年を重ねたからでしょうか。
 5人のキャラクターたちが、恋して、傷ついて、立ち止まって、そして前へと進んでいく、本当にいいお話です。
 ぼくは旅の話ばかり紹介しましたが、恋愛関係を軸にキャラクターたちの心が揺れ動くエピソードには、恋したり失恋した読者を勇気づけてくれます。恋愛も、この本の大きな柱になっています。
 自分の夢へ、未来へ、いろんなことがあっても諦めず、前に進んでいこう、と語りかけてくれるステキなマンガです。
(2008/6/25)


第15話 『のだめカンタービレ』二ノ宮知子


のだめカンタービレ 全25巻

 二ノ宮知子さんの『のだめカンタービレ』を読みました。
 テレビドラマ化されたのを観たのがきっかけなんですが、ヒロインの「のだめ」のキャラクターに引っ張られて、時には大笑いしながら、時にはクラシックを聴くかのごとく静かに、読み入ってしまいました。
 話は、音大ピアノ科に通う野田恵こと「のだめ」と、音楽一家の血を引くエリート千秋真一の恋と音楽の物語。
 恋の部分では、ギャグキャラののだめが、なぜかエリート千秋の懐に入り込み、千秋自身も気付かない間に恋愛関係になってしまうという押しかけ女房な展開が、ギャグになっていて楽しめます。
 レベルの高い音楽を求めていくという部分では、二人も真剣モード。時にぶつかり合い、落ち込み、励まし合いながら、お互いを少しずつ理解してゆきます。
 何より、アマチュアの音大生から、プロの音楽家へとチャレンジして行く姿に、クリエイター魂を揺さぶられます。自分の中から何かを生み出していくということの辛さ、苦しみ。そして、聴衆から万雷の拍手をもらった時の喜びと達成感。クリエイターにとって、忘れてはならない、一番大事な気持ちを思い出させてくれます。
 演奏のシーンでは、奏者や聴衆の表情を見ているうちに、どこからかクラッシックが聞こえてきます。自分が知ってる数少ない曲の中から、そのシーンに合った音楽を探し出し、頭の中でその曲をBGMにして読んでいるのです。
 音楽好きの人、物を生み出すクリエイティブなことをしている人に、ぜひ読んでほしい1冊です。
(2007/1/7)


第14話 『大東京ビンボー生活マニュアル』
     前川つかさ


大東京ビンボー生活マニュアル
全5巻

 今日、本屋に行ってビックリ! 懐かしい本が復刻してました。それは、前川つかささんの『大東京ビンボー生活マニュアル』。
 風呂なし、共同トイレでテレビもない下宿で暮らす主人公コースケが、ビンボーながらも、のんびりゆったり自由に暮らしてる姿に、大学時代の自分を重ねながら、とても楽しく読んだものです。
 主人公が使ってる湯沸かしの電気ポットが、おいらの使ってたのと一緒だったというのが、好きになったきっかけ。
 社会人になって初めて気付く「自由な時間を自由に過ごせる」ということの貴重さが描かれています。
 ビンボーながらも悠々自適に過ごすコースケを見ながら、こんなふうに生きてみたいなあと思ってたら、ホントにコースケみたいな人生になってしまったおいらです(笑)。


第13話『最終兵器彼女』 高橋しん


最終兵器彼女 全7巻


 これは、先日訪れた小樽で、偶然に連れてってもらった旭展望台。マンガの舞台がいきなり目の前に現れた驚きで、思わず「うわっ!」と大声で叫んでしまい、前を歩いていたおじさんが驚いて振り返ったほど(笑)。
 この展望台は、高橋しんさんの『最終兵器彼女』に出てくる一番大事な場所なのです。ファーストシーン、再会、そしてラストシーン。全ては、この旭展望台が舞台なのです。
 お話は、二人の高校生の恋物語。ただし設定がスゴイ。幼い感じの彼女「ちせ」は、世界を滅ぼすことのできる「最終兵器」なのです。
 物語が進むに連れて、少女「ちせ」から兵器へと変化していくカラダ。賢明に「ちせ」であり続けようとする彼女にとって、シュウジへの恋する想いだけが、人間であり続けるための絆。
 物語の前半は、二人の切ない恋が自分の高校時代と重なり、胸が痛くて痛くて、なかなか読み進めませんでした。
 しかし後半は、地球規模のカタストロフと二人の行く末が同じレベルで描かれていて、ぼくはシュウジ(ちせの彼氏)に感情移入しながら、物語世界にどんどん引き込まれてゆきました。ぼくなら、きっとちせにこうしただろう……と思うほどに、シュウジの側から二人の恋を共有したのでした。
 恋するチカラ、人を好きになるチカラ。自分の中にこんな熱い想いがまだあったんだと、気付かせてくれる作品です。
 
 最終巻で、この屋根の上に兵器になったちせが座って、シュウを見ているシーンが一番好きです。
 帰ってきて、マンガを読み直してみたら、ホントはこの逆アングルなんですね。
 それでもこの画像を撮った時は、屋根の上にちせがいるような気がして、しばらく見上げていました。
(追伸)
 この展望台。大好きな映画・岩井俊二監督の『Love Letter』でも使われていました。秋葉が夜景を見下ろすシーンです。
 小樽はなぜこうも「恋の街」なんでしょうかねぇ。

(2005/8/17)


第12話 西原理恵子版『プルート』

 西原理恵子版『プルート』が、今、発売のビッグコミックスペリオールに掲載されています。題は「うつくしいのはら」。
 コンビニで読んで涙が出そうになりました。戦争、貧しい国で生きていくこと、そして、自分の生活が戦火に包まれるということ。真っ直ぐに描いたこの作品は、命が螺旋を描きながら、少しずつ高みへと昇っていって「ほしい」という願いが込められているように思いました。
 12ページの作品です。テツは何をそんなに……と興味を持たれたならば、ぜひぜひ読んでみてください。心に直接響いてくる素晴らしい作品です。
 西原さんは今、休載されているのですが、休載直前に描かれたであろうこの作品に、もしかしたら、お休みの本当の理由が隠されているような気がします。


第11話『PLUTO』第2巻 浦沢直樹


PLUTO 第2巻

 すごい、すごい、スゴイ! そんな読後感を持ったのは、浦沢直樹さんの『PLUTO』第2巻。
 鉄腕アトムの「地上最大のロボット」をモチーフしたこの作品。前巻の最後で登場したアトムがこの巻で活躍し、お茶の水博士やタワシ警部も登場。そして、ラストには妹のウランまで!
 キャラの登場だけでなく、内容もとにかくスゴイ。未読の方もいらっしゃるので、詳しくは触れませんが、ロボットの中に生まれる「感情」が、読者をグイグイと物語世界に引き込んでくれます。ロボットがもつ悲しみの感情に、こちらがシンクロしていくんですよ。
 ロボットが、人工知能が進化していく先が、もし「人間らしく」であれば、人間らしくなったロボットは感情を持ち、その感情は良いモノだけでなく……といった「欄外」を読み手側に考えさせてくれます。
 ロボット同士が視覚映像を回線で繋げて、情報を同時共有するシーンなんて、今らしい表現でおもしろかったなあ。
 とにかく、何度も読み返せる作品です。 


第10話『ダックテール』吉田聡


BirdmanRally

 湘南爆走族で有名な吉田聡さんの短編集『BirdmanRally』(小学館)に収録されている『ダックテール』という作品が大好きです。
 話は、好きな子に告白できない高校生と29才の男が出会い、東京から北海道までバイクで旅をするというもの。
 29才の男は、現在札幌に住むという高校時代に付き合ってた彼女の“今”を見届けたくて、北海道まで走るのです。
 帰り道、高校生が男に聞きます。「バイクで旅をして何を探してるのか」「ひとりぼっちになって(走っていて)、寂しくないのか」と。
 その答えは、彼の周りに現れたたくさんのバイク乗り。「これが全国でできた仲間だ!」
 このセリフを読んだ瞬間、物語がまるで自分のことのように思えて、心の中に熱いものを感じました。これだよな〜って。
 旅するバイク乗りにオススメの作品です。


第9話『シュマリ』手塚治虫


シュマリ 第1巻

 今回は、巨匠手塚治虫の『シュマリ』。実はこの本、東京忘年会の次の朝、一気読みした作品です。
 舞台は明治の初め、開拓史時代の北海道。これ読んだら、北海道に対する見方が変わりますよ。130年前の北海道は、こんな西部劇のような所だったのかって。大都会札幌が、元はこんな所だったのかって。
 しかも、話の軸は一人の女性を想い続ける主人公と、叶わぬ恋と知りつつその主人公を想い続ける女性の物語。それぞれが、いつか自分の想いが叶うことを夢見て、荒野の北海道を開拓していくという大河ストーリーなのです。
 読み終わった後、思わず「さすが手塚治虫!」と唸ってしまいました。言葉での“愛”ではなく、自分の人生をかけた愛というもののカタチが綴られた作品です。
 好きな人を思い続けていくことに疲れそうになったら、一度この作品を読んでみてください。


第8話『夕凪の街 桜の国』こうの史代


夕凪の街 桜の国

 昨日いいマンガと出会いました。さっき読み終わったばかり、こうの史代さんの『夕凪の街 桜の国』です。
 本屋でふっと見かけてね、表紙のキレイな色遣いが気に入ったんで買いました。
 「ヒロシマ」から10年後の世界、そして2004年の“今”へと繋がるお話です。
 読み進めていくと、自分が歳を重ねていくうちに落っことしてきた、日常生活の中の大事なモノを思い出させてくれます。
 人は時として「自分がここにいていいのか」「自分には生きる価値はあるのか」という疑問をもつ時がありますよね。そんな経験のある方に、ぜひ読んでほしい作品です。
 この本を読み終えた時に思ったことは「人の“想い”っていうのは、人の心から心へとリレーされて、時を越えて繋がっていくものなんだなあ」ってことでした。それがきっと、その人が生きた証でもあるんですよね。


第7話『風呂上がりの夜空に』小林じんこ


風呂上がりの夜空に
全5巻

 このコーナー復活の第一弾は、先日掲示板で話題にのぼった、小林じんこの『風呂上がりの夜空に』。
 80年代後半、ヤングマガジンで連載されたものです。このマンガ、正月にも読み返してみたんですが、今でも面白い作品です。
 ストーリーは、高校生カップルのお話なんですが、その高校が過剰なほど自由奔放な校風で。毎日がお祭り騒ぎ、文化祭ってな騒々しさ。こんな高校行ってみたいなあ、と思わせてくれます。
 また、作者の好きなRCサクセションの音楽が作品の中にちりばめられていて、タイトルは「雨上がりの夜空に」からだし、落ち込んだヒロインが自分を元気づけるために歌うのが「君が僕を知っている」なんです。
 主人公カップルの煮え切らないハラハラしたとこなんかが、80年代らしいラブストーリーになっていて。話の中に自分を投影して読める上に、読んだら元気になっちゃうマンガなのです。
 ぜーったいおもしろいんで、元気になりたい人、恋に煮詰まってる人にオススメの1冊です。


第6話『1・2の三四郎』小林まこと


1・2の三四郎
全20巻

 人生を変えた一冊の本ってありますよね。おいらも何冊かそういう本があるのですが、その中の一冊が小林まことさんの「1・2の三四郎」なんです。おいららしい本でしょ(笑)。というのは、主人公たちがプロレスラーになる格闘マンガなんですよ。
 今では信じられませんが、実はこの本を読むまでプロレスが嫌いだったんです。ところが、馬之介の芸術的なローリングクラッチホールドや三四郎の闘魂がおいらに乗り移ったんですねー。いっぺんにプロレスファンになりました。
 ちょうどその時、タイガーマスクがデビューしてプロレスブームの頂点。当時、高校生だったおいらはスタンハンセンのマネして、廊下でロングホーンの雄叫びを上げながら、同級生にウエスタンラリアート! タイガーマスクのマネして掃除道具入れにローリングソバットをかまして、道具入れがくの字に折れ曲がった時は焦ったなあ(笑)。朝の目覚めはタイガーマスクのテーマで、夜は夜とてヒンズースクワットをやってました(笑)。
 本当に高校時代のおいらの心を燃やし続けたこの作品ともし出会わなかったら……、野球を続けてたか? レスリングをやってたか? 今振り返っても、明らかに人生を左右した一冊でした。
 自信がなくなったりした人にはぜひオススメ。自分の力を過剰なまでに信じて、とにかく前に前に生きていく『闘魂』が、心の炎を燃やしてくれるでしょう。
 ウッシャー!!


第5話『あどりぶシネ倶楽部』細野不二彦


あどりぶシネ倶楽部 全1巻

 今日は、細野不二彦さんの「あどりぶシネ倶楽部」。
 現在では「ギャラリーフェイク」、昔なら「Gu-Guガンモ」「さすがの猿飛」で有名な細野さんですが、「めぞん一刻」が連載されていた頃、同じスピリッツに一話完結で不定期連載されたものです。
 お話の舞台は大学の映研。8ミリ映画の世界です。大学時代にこのマンガを読んだおいらは、モノづくりの世界に携わる人たちの気持ちに刺激されたものです。
 一番好きな話は、4時間のフィルムを70分に編集するというエピソード。
 映画を撮った監督は「そんなに短く切れない」と反対するのですが、プロデューサーに「私たちが作っているのは“映画”であって“映画の記録”ではない」と言われます。そして「一本の映画の中でワンカットのフィルムが生きて輝ける場所は、おのずと限られている」というのです。
 この言葉が、今日に至るまでずーっと心の中に残っているんです。今なら写真を選んでる時、原稿を書いてる時によくこの言葉が浮かんできます。もっと簡潔に、もっと分かりやすく伝えることができるのではないかと。
 この作品で細野さんファンになって、以後全ての作品を読みました。中でも、十代でバツイチ子持ちがヒロインという「ママ」が、細野版「めぞん一刻」って感じで好きでした。 


第4話『めぞん一刻』高橋留美子


めぞん一刻 全15巻

 今日は懐かしの名作、高橋留美子さんの「めぞん一刻」です。
 おいらの世代の人は、かなり読んでるんじゃないでしょうか。おいら自身、大学の下宿時代に読んだもんだから、ドップリと一刻館にハマりました。五代君がそのまま、リアルタイムの自分だったんですよね。
 最近、読み直す機会があったんですよ。今読むと、違った姿が見えてきますね。響子さんは、かなり嫉妬深くて、勝手に誤解して、すぐ怒る。彼女にするにはしんどいよなあって。二人の男を宙ぶらりんにしてるしね(笑)。変な住人だと思ってた一ノ瀬のおばさんや朱美さんの方が、肝心なとこで響子さんにいいアドバイスしてるんよね。
 それに、学生時代は共感できなかった三鷹さん。今読むと、よくまあ三鷹さん、はっきりしない響子さんと長年付き合ってたなあって(笑)。三鷹さん、あんたエライよ(笑)。
 自分の年齢とともに、読み方、感じ方が変わっていくんだなあって、そんな感想を持った読み直しでした。


第3話『毎日かあさん』西原理恵子


毎日かあさん 全14巻

 今日のオススメは西原理恵子さんの「毎日かあさん」(毎日新聞社刊)です。
 西原さんの作品との出会いは「ぼくんち」。次に読んだ「ゆんぼくん」で号泣し、「まあじゃんほうろうき」「恨ミシュラン」「鳥頭紀行」で爆笑させてもらいました。これで完全に「情」と「毒」のサイバラワールドにハマってしまったわけで。
「毎日かあさん」は「毒」と「情」を織り交ぜて、笑かすと思えば、泣かせる、と変幻自在の素晴らしい作品群。自分のリアルタイムな離婚話を「情」と「毒」で語るとこなんかはもう、サイバラの真骨頂!
 西原さんの一言を切り取る力には、いつも感動して感心させられます。この本で一番好きな言葉は「すきだったひとをきらいになるのはむつかしいなあ」。
 この言葉に反応した人は、ぜひ読んでみてください。


第2話『鉄腕アトム「地上最大のロボット」』
    手塚治虫


鉄腕アトム「地上最大のロボット」

 前回紹介した浦沢直樹さんの「PLUTO(プルートウ)」。その原案である鉄腕アトムの「地上最大のロボット」を、近所の本屋でゲット。ネットじゃ品切れだったのに、灯台もと暗しですなあ。
 ほぼ鉄腕アトム通り進行しているので、このアトムを読んじゃうと、筋が分かっちゃうんだけど止まらない。
「PLUTO」では、主人公がアトムとは違うロボットに設定されているので、ここストーリーはどうするんや?と考えながら思いながら読んでしまいました。原案を読んでしまったおかげで、今度は原案との違いを探る楽しみまで増えてしまいました。おかげで、ますます「PLUTO」から目が離せません。


第1話『PLUTO』浦沢直樹


PLUTO 第1巻

 今日のオススメは「Monster」「20世紀少年」でお馴染みのマンガ家・浦沢直樹さんの最新作「PLUTO(プルートウ)」です。
 未来ロボット物の話なんですが、浦沢さんお得意の謎を追いかけるタイプのストーリーになっていて、物語の中にグイグイと引き込まれていきます。ロボットを題材としてるところに、おいらたち世代は反応してしまうわけですなあ。
 鉄腕アトムの「地上最大のロボット」をモチーフに描かれているというので、その本を買おうとしたら、アマゾンでもイーエスブックスでも在庫切れ。いやはや、すさまじい影響力ですなあ。
 ここ何年かで、ここまで引き込まれたマンガは、高橋しんさんの「最終兵器彼女」以来かなあ。こちらは恋の切なさが心に響いてくる作品です。


トップページへ戻る