モンゴル・ツーリングレポート

<旅のデータ>
・日 程 :97年8月2日〜6日
・旅行会社:クルーズインターナショナル
・コース :モンゴルバイクトレッキング4泊5日コース
・特 典 :ツーリングマガジンOutRider誌が取材同行。
      98年4月号に掲載されました。


「大草原の夢・鉄馬で駆けるモンゴル」(1/3)

モンゴリアンブルーの夢
'97 アウトライダー写真コンテスト・タイコ石野賞受賞



夢に見た蒼い空の国へ
(はじまり)
 モンゴルの大草原を馬で駆け抜けたいとずっと夢見ていた。そんなぼくの目に「アウトライダー同行取材」の文字が飛び込む。こんなチャンスは二度とない。
 いざ行かん、モンゴルへ!

 
(8月2日)
 飛行機からの景色が砂の海から緑一面の世界へと変わる。ついに来た。ウランバートルの街にはトロリーバスが走り、異国の地に来たことを実感させる。

 夕食時に一同顔を合わせる。アウトライダーからは秋元編集長が参加。谷村新司そっくりだ、と思ったのはぼくだけではなかった。初心者コースのツアーということで、日頃オフに乗っていない人が4人もいる。ぼくもその一人。でも不安はない。なんとかなるさ!

 夕食後、ホーミーと馬頭琴の生演奏を聴いて大感激。

 
(8月3日)
 さあプロテクターに身を固め、鉄の馬セローに跨り、キック一発、いざ出発! ところが困ったことが一つ。オフロードブーツを履くのが初めてなので、ブレーキやクラッチペダルのが位置がつかめない。ブレーキなんて、踏んでるつもりが空振りだったりする。まあ、じきに慣れるかな。

 走って行くに連れ、緑の風景が増えていく。そしてついにダートへ。このガタガタがうれしい。いきなり川渡り&登りが現れる。初心者には厳しい。ここで奥村さんが転倒し、指を負傷。爪がはがれそうになっている。しかし、彼女は気丈夫にも、その指のまま運転を続けたのであった。これには後日談があり、帰国後複雑骨折だったと判明。骨折のまま3日間ダートを走行するなんて、まさに強者(つわもの)である。

 7台のバイクは、いつしか草原の中を走り出す。草の上を走るのがこんなに気持ちいいとは思わなかった。清冽な草の匂いが鼻をくすぐる。なんていい匂いなんだ。ぼくの目の前には、先を行くバイクが通ったラインが見える。わざとそのラインをはずして、自分のラインを草原に刻み込む。ぼくの走った後に道はできる。

 遅い昼食。三時過ぎというのに、太陽は真上からぼくたちを照らす。聞くところではこの季節、日暮れは十時半だという。本当に一日中走れるんだ。

 目の前一杯に広がる大草原の風景。遥か彼方の山まで視界をさえぎるものは何もない。そんな景色に見とれていると、危ないのだ。草原には、いたるところにタルバガンというデカいネズミみたいな動物が掘った穴があり、これをうまくよけながら走らないと、落とし穴にはまってしまうのだ。

 スピードメータは五十キロ程なのに、体感スピードは百キロ以上だ。ギャップや轍に気を付けながら走るので、緊張感やスリル感を味わうことができる。

 今日の野営地への最後のアプローチは緩やかな緑の斜面。アクセルを開けて駆け抜けた時の気持ちの良さは、何ものにも代え難い。自分がモンゴルの風になってるんだという喜びで一杯になる。今日の走行距離はわずか百三十キロなのに、走りに大満足。こんなにおもしろい走り方があるなんて初めて知った。こりゃあオフに、はまりそうだなあと、まだまだ明るい夜八時の空を見上げて、ニコニコしていた。

 その夜、初めは曇っていた空も少しずつ晴れてきて、皆が心待ちにしていた星空が見えてきた。人工衛星がのんびりと歩いているかと思えば、流れ星が駆けて行く。天の川が流れる星空に、見惚れてしまう。


さあ、ダートコースの始まりだ!

草の海を駆けるのは最高!

夜8時。空はまだまだ蒼い

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